検査入院
その3


いよいよ検査


当日(25日)は検査室までベッドで運ばれたのか、歩いて行ったのか、どうだったのかなぁ?

記憶を思いっきり手繰り寄せてみると・・・ベッドだったような気がしてきた。
それくらい、最近の事はすぐ忘れるようになってしまっている、困ったものだ。


検査室では淡々と準備が進んで、麻酔注射が打たれ、程なく始まった。
テレビで観たことのある、あの検査が自分の身に起ころうとしているのに、気分はなんだか他人事のよう。
腿の付け根がチクッとして、さーっと内腿に何かが流れる感じがした。
動脈からの出血だな、と思った、でもそれは一瞬のことだった。

先生の顔を見ると、カテーテルを挿入しながらじっと前方の何かを見ていらっしゃる。
その目の先にはどうやらモニターがあるらしい、モニターだったら私も見たいよ。
必死で顔を向けようとしたが、左横にあるので首が動かない私にはチラッと角が見えるだけ。
折角、自分の心臓の血管画像が見られる、絶好のチャンスだったのに、う〜ん残念だ!

正味の検査時間は案外早く終わった。
狭窄部分が見つかったものの、血管が枝分かれした先の細い所なので、ステントで広げる必要なしと説明を受けた。
大したことはないらしい、やれやれ、いつも大山鳴動してねずみ一匹なんだよなぁ。
ただ、カテーテルを引き抜いた後を、先生がご自分の指で長い間押さえておられたのが、印象的だった。
止血をされていたと思うが、ずいぶん原始的だなぁと、それがなんだか可笑しくって。

実は、本当の大変は病室へ帰ってからだった。

入院した22日から「プラビックス」(血液をサラサラにする)と「ベプリコール」(不整脈)の薬を飲んでいる。
この血液サラサラの薬のため、止血に時間がかかり、きっちり12時間もの間、検査した右足を動かせなかった。
やがて夜が来るし、寝てしまって知らず知らずに動かしたら?と言うと、じゃ、ベッドに足を縛りましょうと看護師。

そんな囚人みたいな拘束は嫌なので、寝ないで一晩中起きてます、と言って看護師を驚かせる。
しかしまぁ、動かせない事がどんなに辛くて大変か、何度も声にならない悲鳴をあげることになった。
やがて、朝6時の起床時の放送が流れて、やっとやっと開放だ〜〜〜
人工関節置換手術をした日の一晩中の嘔吐、これも辛いけど、どっちもどっちで、辛いに変わりない。

そして、ステント挿入必要なしの検査結果を受けて、2週間の入院予定だったのが、突然早くなったのだ。
いくらなんでもあまりに急なことだし、それにすぐ対応できない身の上だ。
私としては、お正月の静かな病院を経験するのも、またよしかな、とのんびりと構えていたのに、、、
早く退院して欲しそうな病院側の雰囲気が伝わってきて、気忙しいったらありゃしない。

仕方がない!退院しよう!と、バタバタ支度をして、とうとう年末の29日に帰ってきた。

それで思い出したが、19年前の股関節人工置換手術の退院の時も、年末の29日。
この時も、リハビリが始まってまだ4・5日なのに、なんだか追い出されるような気配を感じたものだ。
病院としては、手薄になるお正月は出来るだけ患者を減らしたい意向があるのだろう
とてもハードな仕事の看護師さん、それは充分理解は出来ます。
やれおしっこだの、お水が飲みたいだの、子供に還った患者さんの要求にも優しく応えておられたので。

いつの日か、お正月も帰宅できない時が私にも来るだろうと思う、それは以外に早いのでは?

終わります

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