突然の心臓発作
平成21年の暮れも押し詰まった、12月21日の明け方の5時頃のことだった。
胸が痛くて、夢うつつに何度も寝返りをうちながら、次第に目が覚めていった。
明け方の胸が息苦しいのは数年前からあり、循環器科での心電図や超音波の検査は異常なし。
ただ普段から不整脈がひどく、しょっちゅう脈が飛んでいたので、ホルター心電図で調べて貰った。
それでも、異常無しと診断されたのですっかり安心していた。
が、その日は、普段の息苦しいのとは違い、はっきりと痛いのだ。
なんというか、心臓をわしづかみにされているような痛さ。
普段意識しない心臓の在り処がはっきりと分かるほどだった。
起き上がって血圧を測ると、上が160・下が90もあり、いつもより高い。
吐き気がしてきたのでトイレへ行ったが、胃が悪いのではないので、胃液も何もでてこない。
そのうち心臓の真裏にあたる背中までも痛くなってきた。
この時、私の身体の中で何か異変が起きたらしいと、なんとなく分かった。
それでも今日はヘルパーさんの来る日だと思い、パジャマから洋服に着替える。
その間もずっと心臓は痛い。
もちろん食事が摂れるわけもなく、とりあえず牛乳少しで朝の薬だけは飲んだ。
これは地震がきても雷が落ちても、私にとって欠かせない習慣なのだ。
後はソファーに転んでひたすら痛みをこらえるのみ。
時間の経過も分からないままチャイムが鳴って、やがてヘルパーさんがやって来た。
私の様子を見たヘルパーさんは、病院へ行くようにとしきりに勧められたが、気が進まない。
こんな状態で、とても病院の外来で待つことなんて出来ないからだ。
予約なしの飛び入りは、すごく待たされるのが常で、今までにも経験している。
幸いなことに、明日は整形外科の診察日で予約が入っていた。
整形の検査の待ち時間(1時間ほどある)に、ついでにちょこっと循環器科で診てもらえばいい。
そんな都合のいい巡り会わせに、喜んでさえいた。
おそらく、大したことはありませんと言われるに違いない、と勝手に想像しながら。
今までにも診察を受けると、心臓になにも異常なしと言われ、薬の処方さえなかったからだ。
そんな理由で、あくまでもお気楽な私だった。
この日はソファアーに横になって、テレビも観ず、ラジオも聴かず、ただひたすら眠った。
そうこうするうち辺りが暗くなり、次第に痛みが収まってきて、ふと時計を見ると夕方の5時。
身体を起こすと、アレッ胸の痛さは何処かへ消えてなくなっている、あれは一体なんだったんだろう?
それにしてもお腹が空いてきた。
やれやれ、これでやっと食事の用意が出来るわ、と台所に立って食事の用意をした。
喉もと過ぎればなんとやら、循環器の診察は来月の予約日でいいかなぁ、なんて思いながら。
食事はしたけれど、お風呂までも入る余裕がなくてそのままベッドイン。
胸の痛みでよほど体力を消耗したのか、昼間あんなに眠ったのに、夜もちゃんと眠れたのは不思議。
「その2」に続く
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